
ウィルスの意味論
2020/03/20
今読んでいるもう一冊は『ウイルスの意味論――生命の定義を超えた存在 』
裏表紙の言葉に簡潔にまとめられている通り、「ウィルス」についての見方が大きく変わる本だと思う。
「論」とあるので堅苦しい本の様だが、そんなことはない。
ウィルス学の基本から最近の研究までがよくまとめられており、ウィルスとは何ぞやとその振る舞いの一端を覗いていくと、生物とも無生物とも括れないその様態に生命とは何か、知性とは何かということも改めて考えさせられる。
自然界に存在するものは、見ていけば見ていくほど境界線など引けないくらいに複雑に入り組んでいる。
生物の分類は、最初は肉眼による観察によって、次に顕微鏡での形態観察によって、そしてリボソームの遺伝子の解析に基づいて決められるようになった。科学技術の進展により、かつて生物のすべてだと考えられていた植物と動物は、今では生命の系統樹の小さな枝の一つにすぎないことがわかっている。そして、もしかしたら今もまだ、われわれは樹の全体像を見ていないのかもしれない。
この本の中でかつて読んだ『鹿の王』というファンタジーの話題が出てくるのだが、この本を読んでから読み返してみると、そのストーリーから感じることも以前とは随分違うし、その続編が出版されたことも知ってまた読みたい本が増えてしまった(汗)
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