Baby Steps

ゆっくりと歩む日々の眺めと言の葉

スクワットといえばまず

トレーニングが思い浮かぶ現代だけれど

幼児の自然なしゃがむ動作をみていると

それ以前に人にとってそれが

根本的な発達運動なのだとつくづく思う。

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この自然なしゃがむ姿勢より

幾分股関節を外旋させたカエルの姿勢を

フランスのダンサーであり、理学療法士の

Blandine Calais-Germainらは

その著書『Anatomy of Movement Exercises』の中で

以下のように推奨していたりもする。

股関節を開いて屈曲する体勢と比較してみる(左下の図)。この体勢は、靭帯が持続してストレッチされて硬直しない。これは母親が赤ん坊を背負う時の、赤ん坊の体勢でもあり、またほとんどの子供が床にしゃがんで遊ぶ時の体勢である。成人もこの“カエル”の体勢を練習すれば、股関節前面に位置する靭帯の柔軟性が維持できる(右下の図)。

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練習ページでは、この体勢で行うエクササイズを勧めている。前面に位置する靭帯の柔軟性が増せば、バレエの動きで重要となる外旋も容易になる。

 

もっとも、成人の方の中には

いきなりそれを実践するには

腰や膝がきつい方もおられるだろうと思うが

ならば、それ以前の

ロッキングや這う動きをゆっくりとやっていけば良いし

人の身体は思っている以上に

その自然のデザインに沿った動きを

再学習できるものだ。

 

少なくとも、ナチュラリゼーションを何年も実践してきた今

乳幼児のような4頭身、5頭身のバランスではなくとも

腰や膝にきつさは全く感じない

私にとって居心地の良い作業、休憩姿勢でもある。

 

逆にいえば、土いじりや家事をする際に

腰を入れて、膝を捻らない「しゃがむ」を維持しながら

様々なリーチ動作を行うことは

股関節のしなやかさだけではなく

骨盤底筋群や姿勢反射の活性化にも役立っているし

特別なエクササイズの時間を持たなくても

それ自体が日々の暮らしの中のリセット時間ともなる。

 

むしろ、平らな床で

焦点的な注意を向け続けながらとは違う

注意の分散という要素や

地面などの環境の変数という要素がある中で

行為し続けることで創発されるものを

その時間は促しているようにも思えるし

しゃがむを起点にどんな動きを発展させていけるかを

学生さんらと考えていくのも楽しいひと時だ。

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昨夜は風雨が激しかったが

桜はその花をほとんど落とすことなく咲いていた。

散るときは散るけど

散らないときは散らないものなんだよ

という師の言葉を思い出す春の日だ。

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