Baby Steps

ゆっくりと歩む日々の眺めと言の葉

母音の感触

 

幼子を見ていると

その存在丸ごとから発せられる

生き生きとした母音の響きに感動することが多い。

 

すくなくとも生まれてからの数年間

他者からの見え方などに囚われないところで

躓くことで転び方を学び

転ぶことで起き上がることを学び

ぎこちなさや無様さを経験することで

滑らかさや美しさを学ぶ

私たちはそうして成長してきたはずなのに

その囚われから自由になることが

この再学習の過程で

一番難しいことかもしれない。

 

その囚われから解き放たれ

格好悪さなど微塵も意識されなくなった先の

目的や意図で括られた世界と

その括りの外との境界に

「あっ!」とか「おっ!」とか

思わず母音が飛び出すような瞬間は

訪れるものなのだと思う。

 

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本との出合い

 

ふと立ち寄った書店で

眼光鋭い男性の写真がカバーになった本に目がとまった。

その被写体になった方の眼力だけでなく

ファインダー越しに彼を捉えている目にも

意識が引き寄せられるようだった。

 

それこそ「おっ!」と

新鮮な驚きと期待とで

体腔が上下に引き伸ばされるような感触を覚えながら

手に取ったその本のタイトルに

またひとつ、ちょっと感触の違う

「お~っ」が飛び出す。

 

なんたって、

『ロバート・ツルッパゲとの対話』という

およそ哲学をテーマにした本らしからぬタイトルなのだ。

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ちょっとフライングして

著者のワタナベアニ氏のNoteを覗かせていただいたところ

『次のツルッパゲ』も出版されるようなお話で

次作にも大いに期待しつつも

まずは「二人の目力」に引き寄せられたこの本を

楽しませていただくとしよう。

https://note.com/aniwatanabe/n/n5981ad0f3577

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