ありよう
2022/04/21
『若い整骨師の肖像(はじめの光景』が届いた。
つるりとした質感の紙に
選び抜かれた繊細な色のインク
切手や消印といった
送る過程までもが
その物としてのありようの美であり
感受性から感受性へと
丁寧に手渡された手紙のよう。
出版物という概念や
言語や美術という括りを
良い意味で覆してくれる。
はじめの光景は水辺。
その水音や空気感までもが
通ってくるような感触を覚えながら
その続きを更に味わってみたくなった。
本の記憶というのは、おもしろいのだ。本は、その本を読むことにはじまって読むことにつきるはずのことなのに、本を読むというそのことには、その本のかたちやつくりや色といった、物としての本のありようというものが、深くかかわっている。
長田弘『感受性の領分』岩波書店 より
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