
雪景色
2024/02/05
長田弘さんの本をもう幾度読み重ねただろうか。
削ぎ落とし、熟成された丹精な言葉
余白に満ちるものの響き。
読むことで潤う感覚や
時に襟を正すような居心地を与えてくれる
本のありがたみは年々増すばかり。
この本の装丁に用いられているのもクリムトだが、
もうひとつ二篇の詩とクリムトの絵でまとめられた美しい詩集があり
いずれも人が描かれていない作品が用いられている。
人が描かれていない作品と共に読むから
長田弘という人の眼差しが鮮やかに浮かび
過剰さも大仰さもない表現の静謐な余白から
人への想いが響いてくる。
そこに収められた詩
ことばって、何だと思う?
けっしてことばにできない思いが、
ここにあると指すのが、ことばだ。
長田弘 「花を持って、会いにゆく」より
雪景色になった週はじめのシンと静かな晩
天を転がるような雷鳴に
「雪起こし」という言葉をずいぶんと久しぶりに思い出した。
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