
歩様
2024/09/05
子どもの頃に読んだ『イシ-二つの世界に生きたインディアンの物語-』
それは少年少女向けのものだったと思うが、岩波現代文庫から別の版が出版されているのを知り、改めて読み始めた。
当時もかなりショックで、その後映画などでネイティブ・アメリカンの描かれ方に触れる度に、子ども心にも違和感を感じていた事を覚えている。
※イシ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B7
本編についてはまた改めて綴りたいと思うが、文庫版には著者の娘アーシュラ・K・ル=グウィンの序文があったので、一部ご紹介させて戴こうと思う。
私たちは今、どんな風に歩んでいるだろうか。
イシの足は「幅広で頑丈、足の指は真直ぐできれいで、縦および横のそり具合は完璧で」あった。注意深い歩き方は優美で、「一歩一歩は慎重に踏み出され・・・・・・まるで地面の上をすべるように足が動く」のであった。この足取りは侵略者が長靴をはいた足で、どしんどしんと大またに歩くのとは違って、地球という共同体の一員として、他の人間や他の生物と心を通わせながら軽やかに進む歩き方だ。イシが今世紀の孤島の岸辺にたった一つ残した足跡はもしそれに注目しようとしさえすればおごり高ぶって、勝手に作り出した孤独に悩む今日の人間に、自分はひとりぼっちではないのだと教えることだろう。
一九九一年六月六日
アーシュラ・K・ル=グウィン
シオドーラ・クローバー著
イシー北米最後の野生インディアンー/岩波現代文庫
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