Baby Steps

ゆっくりと歩む日々の眺めと言の葉

昨日は実家の庭の手入れ。
金木犀の木の剪定をしつつ春の陽射しと新緑を味わう時間を過ごした。時々やってくる野鳥の囀りに耳を澄ませたり鼻歌交じりに淡々と作業する、そんな何でもない時間は大切だ。
太陽の光も、ほどほどの動くことも、音楽も(それが鼻歌でも)「生きる」を支えるかけがえのない要素だ。

先日は孫が自宅に来たが、もうすっかりお座りも安定し、寝返ること這うことのスピード感も見違えるようだ。
最近はコード類に興味を持って大変と娘が嘆いていて、確かに電気のコードやガスチューブが視界に入ると突進していく(笑)

ふと、つまり彼は「長くて、くにゃくにゃしているもの」に何かしらの関心を持っているのだろうと思ったので、ドイザーバンドというトレーニング用のゴムバンドを与えてみた。ドイツ製のいささか硬めで、表面はすべすべとした赤色、裏は若干ざらつきのある黒という表裏で色と質感の違うバンドは、その好奇心を満たしたらしい。
かなり長い間、持ったり動かしたり、舐めたり、囓ったり(今、乳歯が出始めている)と熱中していた。

約20年ほど前にドイツのダンスカンパニーで踊っていらしたダンサーさんから購入させて戴いたものだが、全く劣化の気配もなく、まさか孫のおもちゃにまで活かされる日が来るとは夢にも思っていなかったが(笑)、そんな孫の様子を見ていて、その時ごとに子どもが自ら学習を必要とする形状や質感、色彩というものがあるのだろうとも感じたし、きっとこれが自然界の中だったら植物の蔓などにも興味を示すのだろうと考えたり、そうした形状や動きをするものに注意が向くというのは、もしかしたら例えば蛇のような「いのちを脅かすかもしれないものへの注意」という生存していくために必要な本能的なものも関係しているのかもしれないと思った。

しばらく様子をみて、今度はそのバンドに一つ結び目を作ってみた。
するとまた、それによって変化した形状や動き、結ぶことに関心を示す。
我が家には孫のための「おもちゃ」は一切用意していないが、だからこそ双方に学ぶ機会も想像し創造する余地も生まれる。それが私が彼にささやかに贈ることが出来る「知育」であり、「芸術体験」であるような気がしている。

ドイザーバンドと小さなビニール袋にお手玉を入れた即席おもちゃ。

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今、彼が関心を示す形や質感に従って、あり合わせのもので工夫して提示してみるのも楽しみの一つだ。

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