Baby Steps

ゆっくりと歩む日々の眺めと言の葉

間もなく15ヶ月を迎える孫とは

ここ2ヶ月ほど会っていないが

時折送られてくる動画や写真から

彼の世界が拡張していく様子を見守りつつ

彼に見えている世界を想像してみたりもする。

最近では掴まり立ちながら

後ろを振り返るような動作もしているようだ。

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舌で舐め回すことと目で舐め回すことが

混在しているような君の今。

ある意味では私も

そうして築いてきたものを

目繰り返した世界を

君と同じように

舐め尽くしてみようとしているのかもしれない。

さて、幼児たちは、やがてこの口の過程を卒業し、もはや内臓とは関係のない「手と目」の両者だけで満足するようになってくる。そこでは、この二種の触覚による"撫で回し・舐め回し"の感覚・運動の共同作業が営まれるのであるが、そのうち、ここから"手を退き"、ついに目玉という、たった一つの触覚でもってこと足りる世界が開かれてくることになる。
幼児たちが、目につくものは見さかいなく手に取っていたものが、しだいに眺めるだけで満足するようになるのは、こうした経緯からであるが、ここで、しかし大切なことは、この最後に残った目玉による舐め回しの奥底には、かつてえんえんと続けられてきた本物の"舐め回し"の記憶が、そこではかけがえのない礎石となって、そうした視感覚をしっかり支え続けている、というこのひとことであろう。

三木成夫『海・呼吸・古代形象ー生命記憶と回想』うすぶな書院

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この本が特にお気に入りなようだ。

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