薬指の徒然
2024/10/10
前回の記事で足の構造について触れたが、手についても「箸や鉛筆を持ち、使う」動作を考えてみると、小指側は「支える」働きを担い親指側は「操作する」働きを担っていることがわかる。
(赤ちゃんの発達では、把握反射が弱まってきた3〜5ヵ月頃にまずは尺側握りができるようになり、6〜7ヶ月頃に橈側握りができるようになる。)
もう少し細かく神経系を見ていくと、例えば手の甲側では親指から薬指の内側までが橈骨神経、薬指の外側から小指までが尺骨神経支配に、掌側では正中神経と尺骨神経とがあり、やはり薬指がその分かれ目になっているのがわかる。
詳細な分布と走行のイメージは以下のページが分かりやすいかと。
上肢の神経麻痺(橈骨神経麻痺、正中神経麻痺、尺骨神経麻痺)の基礎知識
傷に薬を塗るような繊細な動作に、尺骨神経と橈骨神経・正中神経が同居する指が用いられ、「薬指」と名付けられていることも興味深い。
薬指の古今東西の考え方(迷信も含む)については、以下の記事も面白い。
耳寄りな心臓の話(第29話)『心臓に直結した薬指』 |はあと文庫|心日本心臓財団刊行物|公益財団法人 日本心臓
ナチュラリゼーションでも、手の指を一本ずつ回していくワークがあり、これはMP関節での分離運動だが、特に薬指は最初難儀する方が多い。
それでも暫くすると皆できるようになってくる。
どこから動かせるかを感じられることは大事。
慣れてきたら右回り・左回りだけでなく8や∞の字でも動かしてみよう。(手のひらの回外・回内両方で)
余談だが、薬指と親指の対立運動の際のカタチは、ヨガではプリティヴィムドラといって、
- 身体感覚を高める。
- 姿勢を改善する。
- ストレスと高血圧が緩和される。
- 排泄器系の健康を支える。
- 安心感をもたらす。
というような効能があるとされているそうだ。
私はヨガはしていないが、ひとつの動きや形を違う角度から考えてみたり、実際にやってみて感覚の違いを味わってみるのはやはり楽しい。
広隆寺の弥勒菩薩半跏像もこの形(思惟手)だったっけ。
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