Baby Steps

ゆっくりと歩む日々の眺めと言の葉

この状況になって悔やまれることのひとつは
ブダペスト展」を観にいくのを先送りしてしまっていたこと。

間近で観たかった1枚の絵

メドニャーンスキ(Baron László Mednyánszky)の
「Alpine Landscape」

美しいブルーと描き込み過ぎていない荒削りなタッチが
むしろ、実際にその場で景色を眺めているかのような
臨場感を与えてくれるように感じるから。

写真のように細部まで忠実に描かれた絵には
もちろんそれとしての美しさ、素晴らしさがあるが
おそらく私たちの目や意識は
そのように全体を一度に緻密にとらえられるわけではない。
むしろ、対象以外の情報を
見えなくしていくことが意識の本性だと感じるから
もし、空の色の美しさに心を奪われていたとしたら
その対象以外はきっとこんな風にざっくりと
とらえられているのではないだろうか。

けれども、そうしてざっくりととらえられている中でも
どこかで小さく動くものがあったり
あるいは雲の流れに伴って
その視野の中の光と陰の大きな流れがあれば
多分、その気配に気付く。

今はきっと
そんな風に世界と事象を眺め
見えるものと見えないもの
語られることと語られていないこと
わかることとわからないこと
あるいは悲観と楽観
ロゴスによって切り分けられた
そのいずれにも居着かないことが
大事なように思える。

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