Baby Steps

ゆっくりと歩む日々の眺めと言の葉

ベートーベンのPiano Sonata No.14

自分の中では永遠の未完成としていたこの曲での踊り
長い時を経て封印を解きたくなった。

冒頭の僅かな部分は
かつて師が振り付けて下さっていたが
その続きを自分が創るようなことはしたくなかった。

 

けれども、何か今無性に
祈りとしてのダンスを踊りたいという想いが湧き出してきた時に、
やはりこの曲以外のなにものでもない気がした。

 

そして、その続きは
事前に頭で考えたような振りではなく
目を閉じてインプロで踊る事によって
師から授かったものを源に
今の自分を繋げていけると思ったから。

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音源はWilhelm Kempffの演奏によるものが
一番イメージに合う。
陰影は濃いけれど、感情には溺れていない
静けさに聴き入るような
眼差しの奥行き感が感じられる。

目を閉じて1曲踊るようなことは
10年ぶりくらいだろうか。
けれども、むしろ当時より
目を閉じていることへの不安も不安定さもなく
空間を伸び伸び使える感触がある。

目を閉じていることは
身体内観の中に閉じこもるというより
むしろ自分の捉える空間が拡張しているような感覚で
何かその居心地がごく自然に感じられる。

うまく言葉にはできないが
それがこの10年余り学び重ねてきたことの
一つの表れなのかもしれない。


無心に音と踊るひとときの中で
「おかえりなさい」と囁かれたような気がした。

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