
朝の輪舞
2020/10/02
十五夜の月の余韻が
金木犀の香りを一層濃くさせているような
秋の満ちる朝の空気を
胸の奥深くまで吸い込んだ。
小さな公園で愛犬とのひととき。
散歩は遠くまでいく必要がない。
全盲の彼は、柔らかな土の上で
障害物がその軌道上にはないと
マッピングできて初めて
のびのびと歩行できるかのように
わたしの周りを公転するごとく動くことを好む。
だからわたしもずっと
彼に合わせて自転し続ける。
年老いて来て
その歩調はだいぶ緩やかに
少しおぼつかなくはなってきたが
爽やかな秋を巻き込みながら
君と私の朝の輪舞を踊ろう。
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