冬に自然は一番目覚めている
2020/11/17
エンデは「冬に自然は一番目覚めている。」という。
この一節が文庫版まで購入して身近にこの本を持ち歩いている理由だ。
多くの生命が芽吹く春も
全ての目に見えるエネルギーが充満したような夏も
確かに生命の煌めきを感じる季節ではあるのだが
晩秋や冬に庭仕事で掘り返した植物の
水々しく力強い根に触れた時
受精から胎児の
そしてまだ自我が目覚める前の幼子の時代を想う時
私もそう感じるからだ。
まだ言葉が選びとられる以前の
まだ動きが生じる以前の
その場所からどれだけ
その通り道を邪魔をせず
表れを待つことができるか
その場所をどれだけ
過不足なく耕し
水を与えることができるか。
ナチュラリゼーションは
季節で言えば
冬の寡黙な仕事なのだと思う。
つまり、冬とは自然が一番目覚めているときです.……精神的に見れば。
そして春がくると、自然はだんだんと眠りに入り、外的な姿へと移ってゆく。いわば、夢をみるわけです。夏とは、実は自然の広大な夢にほかならない。自然の宇宙的規模の夢です。そして、冬に自然は一番目覚めている。『ものがたりの余白 エンデが最後に話したこと』
ミヒャエル・エンデ 田村都志男[聞き手・翻訳]/岩波現代文庫
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